高血圧治療の目的は、高血圧が続くことによって起こる脳卒中・心筋梗塞などの合併症の発症、進行を防ぐことです。高血圧の治療は、生活習慣の改善と薬物治療の2つによって行われます。まずは、高血圧に関与している塩分の過剰摂取、肥満、運動不足、ストレス、喫煙など生活習慣を改善します。
(1)生活習慣の改善
生活習慣の改善では、たとえば、以下のようなことが推奨されます。 ・塩分は6g/日未満に控えましょう。 ・野菜や果物を積極的にとり、コレステロールや飽和脂肪酸の摂取を控えます。ただし、 野菜や果物の積極的な摂取は、重症の腎障害をお持ちの方には推奨されません。また果物は摂取カロリーの増加につながることもあるので、糖尿病の方には推奨されません。 ・適正体重を維持することが推奨されます。 ・毎日30分以上を目標に、定期的に有酸素運動療法を行うよう指導されることがあります。 ・アルコールを控えましょう。 ・禁煙しましょう。
(2)薬物治療
生活習慣の改善で血圧が下がらない場合、薬物治療を行います。薬物治療では、降圧薬と呼ばれる血圧を下げる薬を用います。複数の降圧薬を時に組み合わせて使うことで、目標血圧を達成します。
(3)原因となる病気の治療
二次性高血圧であった場合、その原因となる病気によって治療方法はさまざまです。病気の治療によって原因を取り除くことで、血圧が下がる場合もあります。たとえば、内分泌性高血圧は、腎臓のそばにある副腎に腫瘍ができ、ホルモンが過剰に分泌されることで起こります。この場合は手術を行うことにより、治癒を目指すことが可能です。 また、腎血管性高血圧症は、腎動脈が狭くなり、腎臓へ行く血液が少なくなることで起こります。主に若い人にみられるような線維筋性異形成によって腎動脈が狭くなっている場合には、カテーテル治療で血管の狭くなった部分を広げることで、高血圧が改善されることもあります。