アルコール性肝障害
アルコール性肝障害
アルコール性肝障害とは文字通りアルコール(お酒)の飲みすぎによって、アルコールやその分解物であるアセトアルデヒドが直接的に肝臓に負担がかかり、肝細胞に中性脂肪が蓄積することによって風船状に肥大化し肝機能が障害されてしまう病気の事です。初期には肝臓全体が腫れてアルコール性脂肪肝の状態になります。このときの症状が腹部膨満感や倦怠感、食欲不振などのため胃の病気や風邪と間違われてしまうことが良くあります。
更に飲み続けてしまいますとアルコール性肝線維症→アルコール性肝硬変へと病状が進行し、黄疸や倦怠感、腹部膨満感や腹水などの症状が出てきます。
日本人の約半数は飲むと赤くなりやすい体質で、アルデヒド脱水素酵素の働きが遺伝的に弱く、慢性的な肝障害を起こします。また日本人の約4%はアルデヒド脱水素酵素の活性がほとんどなく、急性中毒症を起こすため飲酒は危険です(いわゆる下戸の人ですね)。
肝硬変初期であっても症状は無く、肝不全に進行してから黄疸・腹水・食道静脈瘤などの症状が出ます。常習飲酒家や大酒家が急に飲酒量を増やすと、アルコール性肝炎を起こすことがあります。症状は腹痛、発熱ですが、脳症・腎不全・肺炎・消化管出血などを起こすと重症化し、禁酒しても1ヶ月以内に死亡することがあります。
血液検査ではγ-GTPが上昇し、ALT(GPT)がAST(GOT)より高い値を示します。またビタミン摂取不足・吸収不足により赤血球が大きくなります。アルコール性肝炎では白血球数が増加し、血清ビリルビン値が上昇します。肝硬変では血小板の低下やアルブミンの低下などの血液検査値の変化が認められます。
脂肪肝になると肝全体が、腹部超音波検査では腎臓に比べて白く、腹部CTスキャンでは黒く見えます。更に進行し肝硬変になると、肝表面が凸凹になり、脾臓が腫れて大きくなります。アルコール性肝障害から肝臓がんになることがあり、定期的な超音波・CTスキャンなど画像検査や、静脈瘤を診る上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)が必要です。
アルコール性肝障害は禁酒以外に効果的な治療法はありません。アルコール性肝硬変の場合、飲酒を続けると5年後まで生きられる確率は30%ですが、禁酒すると80%以上に上昇します。ただし重症のアルコール性肝炎では劇症肝炎に準じた治療が必要となることがあります。
当院では適宜採血やエコーの検査も施行しております。
心配な方はまたご相談ください。