(1)機能性便秘
最も多いタイプの便秘です。生活習慣やストレス、加齢などの影響を受けて、大腸や直腸・肛門の働き が乱れる結果、起こります。
・弛緩性便秘 (=大腸の運動の低下)
腸管の緊張がゆるんでしまい、ぜん動運動が十分行われないため、大腸内に便が長くとどまり、水分が過剰に吸収されて硬くなるタイプ。便秘の中でも頻度が高く、女性や高齢者に多いです。おなかが張る、残便感、食欲低下、肩こり、肌荒れ、イライラなどの症状も起こります。運動不足、水分不足、食物繊維不足、腹筋力の低下、極端なダイエットなど生活習慣の乱れが誘因になることもあります。
・けいれん性便秘 (=大腸の過緊張)
副交感神経の過度の興奮によって腸管が緊張しすぎてしまい、便がうまく運ばれずに、ウサギのフンのようなコロコロとした便になるタイプ。食後に下腹部痛、残便感などの症状があることもあります。また便秘と下痢を交互にくり返すことも多いです。 精神的ストレス、環境の変化、過敏性腸症候群(IBS)などが誘因になります。
・直腸性便秘 (=直腸に便が停滞)
運ばれてきた便が大腸から直腸に入ると、直腸のセンサーが働き便意を催しますが、便が直腸に達しても排便反射が起こらず(便意が無い)、直腸に便が停滞してうまく排便できなくなるタイプです。 高齢者や寝たきりの人のほか、痔や恥ずかしさなどにより排便を我慢する習慣がある人に多いです。また最近、温水洗浄便座の水を肛門の奥まで入れるために神経の感度が鈍り、便秘になる人が増えています。
(2)器質性便秘
腸管の物理的(器質的)なものや状態により便の通貨障害が起こる便秘症です。 大腸がん、腹部手術後の腸管の癒着、炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎やクローン病)などの原因があります。また女性で直腸の一部が腟に入り込んでしまう直腸瘤も、よくある原因です。このタイプの便秘では、まず元の病気を治すことが基本です。
(3)症候性便秘
全身疾患に伴うホルモン分泌異常や神経系の異常により腸管のぜん動運動が弱くなり、便秘がちになります。全身疾患としては糖尿病、甲状腺疾患、脳血管障害、パーキンソン病、自律神経疾患、膠原病などがあります。
(4)薬剤性便秘
各種の薬による副作用でおこる便秘症です。抗うつ薬、抗コリン薬(ぜん息や前立腺肥大、パーキンソン病などの薬)、咳止めなどは大腸のぜん動運動を抑えるので、副作用で便秘になることがあります。