(1)滑脱型
食道下部で胃酸の逆流を防いでいる下部食道括約筋の働きが弱くなり、食道が閉じにくくなります。 そのため、胃内容物や胃液が食道側に逆流を起こします。 胸やけ、酸っぱい液体が口や喉まで逆流する感じといった症状を起こしますが、小さな滑脱型ヘルニアの場合、無症状のケースも多くあります。
(2)混合型ヘルニア
混合型は、滑脱型がさらに進行したものです。 より大きな食道裂孔ヘルニアとなるため逆流もひどくなります。 また、胃が圧迫されたり、血流が悪くなって痛みを生じたり、胃潰瘍を起こしたりすることもあります。
(3)傍食道型ヘルニア
稀なタイプの食道裂孔ヘルニアです。 通常、胃酸や胃内容物の逆流は起こらず、胃が圧迫されることでみぞおちの痛みを生じたり、胃が食道を圧迫することで飲み込みにくさを自覚したりすることがあります。
(4)複合型ヘルニア
高齢化により問題となっている種類の食道裂孔ヘルニアです。 高齢の女性に多く、腰が曲がってくることで食道裂孔が広がり、また腹圧が上がるため、胃が食道側に入り込みます。 重症になると、胃全部が食道側に入り込み、複合型ヘルニアの状態となります。 胃酸や胃内容物の逆流は少ないものの、入り込んだ胃が近くの心臓や肺を圧迫してしまい、動悸や息切れの症状が出ます。 また、胃のねじれを起こすため、食べ物の通りが悪くなり嚥下困難などの症状をきたします。血流の障害を起こすこともあり、血流が悪くなることで胃が腐って、危険な状態となる可能性があります。